ベタはビンで飼育できる丈夫な熱帯魚というふれこみで小さなビンに入れて売られているのをよく見かけます。ですが、ベタの飼い方について何も知らないままベタの飼育を始めてしまうと、水が白く濁ったり、病気になったり、何かとトラブルが絶えません。
ベタは他の熱帯魚とは違った特徴を持った熱帯魚です。その習性に合った環境を用意してあげることがベタ飼育を成功させるための秘訣です。
ベタは手軽に飼育できることから、初心者でもブログなどで飼い方を披露することができます。でも中には思い違いをされてしまったり、ブログやサイトごとに違うことが書かれていたりして、混乱されてしまう方も少なくありません。
ベタ飼育のプロフェッショナルが普段から日常的に行っていること、例えばベタは濾過器がなくても飼育できるのはもちろんのこと、かなり強い水流の濾過器を使用しても飼育できますし、ベタのオスにはフタを使わない飼育の方が向いているということなども、経験の浅いアマチュアのベタブリーダーには、なかなか認識されているとは言い難い状況です。
私はかつて師から、「ベタが繁殖したくらいで、人様にベタの飼い方を教えるなど10年早い」と言われました。
ベタ飼育の成功とは、ベタが子を産み、その子が育って親になって、また子を産み、その子が成魚になって子を産んで、ようやくベタの繁殖を経験したと言えます。つまり卵から育てたベタの繁殖ができてからが始まりというわけです。
もちろん、繁殖させずに一匹のベタを大切に飼育するのも意味のある飼い方です。ベタの繁殖は個別飼育を前提とした本格的な設備が必要です。ですので、ここではむしろ一匹のベタを大切に飼育するような飼い方を中心に解説していくことにします。
インターネットでは誰でも自由にベタのブリーダーや専門家を名乗れます。ですから、もしベタのブリーダーになりたければ、ホームページを作って、ベタが繁殖したときの写真を何枚か載せればOKです。でも名ばかりではなく、実際にブリーダーらしいことをやってみたいというのであれば、かなり真剣に、そして、まじめに取り組まなくてはなりません。
そもそもベタのブリーダーとは何かというと、一般的にはショーベタの繁殖をしている専門家のことになります。ショーベタとは、色や模様、そして、大きなヒレにさらなる改良を加えることで美しさを極めたベタの品種です。ちなみによくビンに入れて売られているのはトラディショナルベタ(通称トラベタ、または、並ベタ)と呼ばれています。
グッピーで例えるならば、海外から輸入されるグッピーを繁殖していてもグッピーのブリーダーとはあまり呼ばれませんが、国産グッピーを専門に繁殖させている方は、グッピーのブリーダーとして一目おかれる存在になっています。ベタの場合には国産グッピーをショーベタに置き換えることができるというわけです。
ベタの飼育は手軽に始められますし、インターネットの世界では誰でも自由にベタのブリーダーを名乗れます。ベタを繁殖させて写真を撮り、ホームページを作れば、あなたも今日からベタのブリーダーです。
ですが、もしそこにベタの飼い方を載せるのであれば、きちんとしたベタの飼い方を載せることが大切です。そのためにはまず、ベタの飼い方について、どんな誤解が広まっているかも知っておくべきでしょう。
長いこと飼育していたベタが、ある日とつぜん、まるでベタのオス同士がケンカをするように、飼い主に向かってエラやヒレを広げてくることがあります。
初めてこんな体験をされ方は、ベタに嫌われたと思ってショックを受けてしまう場合もあるようです。
ですが、ちょっと待って下さい。
ベタに限らず魚がヒレを大きく開くのは自分をアピールしたいときです。もちろんケンカもそうですが、それだけではありません。求愛のときなどにも、ヒレを大きく広げて自分をアピールするのです。
ベタはとても感情が豊かと思わせられてしまうような振る舞いをすることが良くあります。ベタは記憶力も良く、知恵も働き、一匹づつ個性ゆたかな魚です。飼い主に向かってヒレを広げるのは、もしかしたらイヌがシッポを振ったり、ネコが足下にすりよってきたりするのと同じようなものなのかもしれません。
ベタは普通の熱帯魚とは違った飼育をされることの多い熱帯魚です。ですが、ベタも普通の熱帯魚と同じように飼育することもできます。濾過器をセットした水槽には水流があります。ベタはこの水流を苦手とする、という話もよく聞きます。確かにヒレの長いベタは水流があるとあまりヒレを広げてくれないので、つまらないかもしれません。
でも、野生のベタは止水にもいれば、小川にもいます。ヒレの長いベタであっても、かなり強い流れを上手に泳ぎまわることができます。
とはいえ、やはりベタの魅力を楽しむためには、濾過器を使わない止水飼育が良いですね。ゆうゆうとゆったり泳ぐ様子、大きくヒレを広げて自分をアピールするなど、ベタの飼育がますます楽しくなってきます。
濾過器がないからと言って水が汚れるかというと、それは飼い方によります。ひとつはビンにベタだけを入れ、ほぼ毎日のように水を換えるという方法。この飼い方であれば、熱帯魚の飼育で良く言われる「水槽の立ち上げ」や「濾過バクテリア」を全く無視してコンテストレベルのベタを育て上げることができます。
ベタのブリーダーは、ほとんどがこの方法を採用しています。
もうひとつは、簡易バランスドアクアリウムです。(良く言われるバランスドアクアリウムとは別のものです。)これは水槽に濾過器は使わず、砂を敷いて水草を入れ、最小限の管理で状態良い環境を保つというものです。濾過器がないので、水をきれいにしてくれる植物性プランクトンや稚魚のエサとなる動物性プランクトンが濾過されずに生き残ることができます。これは簡易バランスドアクアリウムにおいて、とても重要なポイントです。
ところで濾過器を使っても使わなくても、水を毎日換えるようなベタの飼い方でない限りは、水は濾過バクテリアによってきれいにしてもらうことも必要です。
濾過バクテリアはプランクトンよりもさらに小さな生き物で、いわゆる細菌と呼ばれるものたちです。いろいろな種類の濾過バクテリアがそれぞれ特有の働きをしながら、水が汚れないようにしてくれています。
インターネットのブログやホームページを見ると、たまに「ベタの飼育にはフタが必須」と書かれているのを見かけます。ブログやホームページは一般の方が書かれていますので仕方がないとしても、雑誌にまでそうした記事が見られるような日本のベタ飼育レベルの現状はとても残念に思います。
ところでフタがないと、本当にベタは飛び出してしまうでしょうか?実際、ベタはとてもジャンプ力に優れた熱帯魚です。ですが、トラディショナルベタやショーベタのようなヒレを長く改良されたベタは、正しい知識で扱われている限り、フタがないからといって、まず飛び出すことなどありません。このようなベタが飛び出すのは、ベタにとって水質などが耐え難い環境であったり、産卵箱のような狭いケースに押し込めてしまったりした場合です。ベタはこうした居心地の悪い場所から逃げるためならば驚くほどの知恵を発揮し、信じられないような身体能力を見せつけてくることが良くあります。
ただし、とても飛び出しやすく、必ずフタを必要とするベタもいます。それはヒレの短いベタ(ベタのメス、プラガットというベタの品種)と、ワイルドベタです。このようなベタを飼育する機会がありましたら、全ての隙間を完璧にガードしておかないと、わずかな隙間に狙いを定めて簡単に水槽からいなくなります。
ベタをフタのない容器で飼育するには、水をいっぱいまで入れず、5センチほど水位を下げておきます。浮き草など入れておくと、なお良いでしょう。
フタのない容器での飼育は、水質浄化に役立つ様々なプランクトンが繁殖しやすくなるというメリットもあります。(実は空気中には無数のプランクトン、バクテリア、カビの胞子などが漂っているのです。)
実はベタにはフタのない環境での飼育が向いているのです。それは常に新鮮な空気と触れていることにより、ベタに必要な酸素はもちろん、様々な微生物が水槽へ入り込むことによって、濾過器のない環境でも安全な水質を維持し、稚魚の初期飼料を供給して生存率を高めたりすることもできます。
ベタ専門店のオリジナルベタ飼育セットや、本物のブリーダーが監修したインテリア水槽を見ると、フタなどついていないことがわかります。世界のベタブリーダーと交流のあるプロの知識は、こうしたところからも学ぶことができます。
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【ちょっと良い話】ビン入りベタを水槽へ。美しいベタの飼育セットを各種ご紹介。(ネットの検索で出てきた順です。他にもいろいろあると思うので探してみて下さい。)ベタ飼育セット(水槽セット通販ショップ アクアネミュー)ベタ飼育ビン(ベタショップ フォーチュン)
ベタのオス同士の混泳について書かれたサイトを発見!小さな熱帯魚の楽しみ方